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第1話

 本編の第1話をお送りします。これから頑張って書いていきたいと思いますので、よろしくお付き合い下さい。

新入生として高校に通う事になった1人の少女。入学に際し、彼女にはある野望があった。



   
    
~~ 2010年、春 ~~










タッタッタッ……



 まだ薄暗さの残る朝の道を、トレーニングウェアに身を包んだ少女は肩程まである髪を揺らしながら軽快に走り続ける。
散歩中の老夫婦と挨拶を交わし、額から流れる汗を拭く事もなく桜の咲く公園まで一直線に走り抜ける。そして、公園に到着すれば

「ふぅ……」

とようやく首に掛けていたスポーツタオルで汗を拭き取る。ふと、さわやかな風と共に桜の花びらが舞い落ちるのを見て取り、

「今日から高校生か。とりあえずナメられないように気合い入れていくか!」

と、少女……下司(しもつかさ)ナミは気持ちも新たに先程走って来た道を往復するのだった。



「ただいま、母ちゃん。今からシャワー浴びてくるからご飯の準備してて」

 ナミは家に帰るなり台所で朝食の支度をしていた母親に伝え、素早く浴室に向かう。
洗濯機の中に今まで着ていた一式を無造作に放り込み、手早くシャワーを浴びる。そして自分の部屋に戻って、新品の制服に身を包み食卓へ向かった。



「ごちそうさま!」

「「姉ちゃん、早ッ!」」

 1つ下の弟であるタクトと、同じく1つ下の妹であるサラが、同時に姉が食事を手早く片付けた事に対して声を揃える。
下司家は、基本的に一家全員が食卓に着いてから食事を始める。TVから流れるニュースを聞きながら朝の団欒を楽しみ、1日の始まりとする。
のだが、今日に限っては若干違っていた。

 まず、箸を取ってかき込みご飯3杯。続いておかずも一瞬のうちに平らげ、味噌汁も流し込み最後にお茶を一気に飲み干す。その間わずか3分。思わず2人が声を揃えるのも当然である。

「今日はね、やる事が多いから忙しいのよ。それじゃ、わたしもう学校行くから」

と、さっさと食器を流し台に置き大きなスポーツバッグを背負い玄関へ向かう。
靴を履いている最中、今まで無言だった父から

「頑張れ。無理するんじゃないぞ」

と一言、激励の言葉を掛けられた。
その言葉を背に受けながら、父の方に敬礼の仕草をしつつ家を後にした。





AM7:30……



 腕時計で時間を確認しつつ、ナミはこれから3年間通う事になる高校の正門の前にいた。正門の右側には、

『私立 光陵(こうりょう)高等学校』

と大きな文字で書かれている。

 普通なら、新入学生が来る時間帯ではない。時折、校門をくぐる上級生(と思わしき人たち)に挨拶し、2、3度深呼吸しながら、意を決したように正門をくぐり抜けた。

(目指すは校長室のみ!)

 校門をくぐりグラウンドを横切り体育館を抜け、校長室目掛け行進を続けるナミ。そして見えてきた大きな建物。パッと見で4階建てと分かる作りの校舎の入口を堂々と一気に入っていった。
が……今まさに入っていった所が、老朽化し近々取り壊し予定である、勿論使用されている筈もない『旧校舎』とは、気が急くばかりのナミには分かるべくもなかった。

 そして、その様子を見ていた人影が後をついて行った事も……

 『旧校舎』に足を踏み入れたナミは、ひたすらに校長室を探すものの、あるのは使われなくなった教材や古臭い机・椅子の類ばかりで、どうにも人が使っている形跡がない。

(う~ん……?)

4階建ての校舎、その教室を1つ1つしらみつぶしに覗くナミ。と、ふと窓の方を見ると……そこには3階建てと思われる綺麗な外装をした建物があり、しかも一室にはスーツ姿の教師らしき人たちが机の前で何かしらのプリントを整理しているのが見えた。

「…………」

ロクに下調べもせず勢いだけで徒労をした事に、我ながら開いた口が塞がらないといった風の状態で廊下に立ち尽くしていると、

「おい! そこで何をしてる!!」

いきなり声を掛けられた。

 重厚、且つ大きな声である。普段のナミならばこの程度の声には微動だにもしない。なにせこれ以上の怒声を、ほぼ毎日のように聞いているのだから……が、今回は不意打ちに過ぎた。

「うきゃッ!?」

 およそ女子高生とは思えない奇声を上げ、声の方に反応し思わずバッ! とファイティングポーズを取りながら相手の容姿を見る。
スーツ姿であるが、ネクタイは緩めている。均整の取れた身体付き、後ろ髪を無造作にゴム紐で縛り、アゴには無精ヒゲが生えている。

(あ……)

ナミは構えた拳を下ろし、警戒を解く。相手はナミの知っている男性だったのだ。

「四五(しご)兄ィ?」

四五兄ィと呼ばれた男はズカズカとナミの近くへ歩み寄り、



パァンッ!



いきなり頭をはたいた。

「なにが“四五兄ィ”だバカタレ! 植木(うえき)先生と呼べっつったろ」

「ッ痛う~~……」

 右手ではたかれた頭を押さえ、涙目になるナミ。そんなナミには目もくれず、

「それにココは『旧校舎』だぞ。こんな所に入って………何してんだ? お前」

追い討ちで問いただしてくる。

「う~~、校長室を探してたのよ」

見知った顔の為か、先生である植木に対しタメ口で話すナミ。

「校長室?」

意外な目的地がナミの口から出た為か、植木は首を傾げる仕草をする。

「そ。こないだジムで話したでしょ? 例の件、校長に許可を貰おうと思ったのよ」

「あーー、アレか」

ナミの説明に思い当たる節があったのか、今度はしきりに頷く。

「女子ボクシング部を作る、って話か。俺から一応校長には一言耳には入れてるぞ?」

既に植木の方から話してある……という事に一瞬驚きの、次いで嬉しそうな表情を見せる。

「へぇ~、意外。四五兄ィ……じゃなくて植木先生がそんな根回ししてくれるなんて。で、校長の反応は?」

「とりあえず、一週間以内に選手5名以上、マネージャー1名以上の入部が第一の条件、だそうだ」

 第一の条件、という部分にやや引っ掛かるものを感じつつも、ナミは前向きに考える事にした。

(一週間以内で選手5人か……まぁなんとかなるでしょ)

と、これからの事を考えながらナミは始業式を待つ事にするのだった。





to be continued……
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チャパロット

Author:チャパロット
基本的に携帯サイトで書かせて頂いているもののリメイク(?)ですが、ちょくちょく文を変更してたりします(あと拙いですが自作絵なども)。
何かある方は、ckcwb305あっとまーくsutv.zaq.ne.jpにご連絡下さい。

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