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第10話 『ボクシングジム見学ツアー・前編』

 プロボクシング編、第10話です。

<拍手返信>

・むむむ様>アマチュアも、プロとはひと味違った楽しみがあって観に行ってよかったと思います。ちなみに、私が観に行った試合では旧来のホワイトライン入りのグローブでした。案外、大きな公式戦でなければまだ普及には至っていないのかも知れませんね。
第1試合が鼻出血のRSC決着だったのですが、ホワイトラインに血が付着してました。

・ヨシコ様>百聞は一見にしかず、とは良くいったものだと再確認させられた気がします。やはり生観戦は迫力や空気からして違ってました。
絵に生かせてたかどうかは……正直自信がなかったり(^^;



新一年生による新人戦も、本人たちにとって満足といかない結果で終わりを迎えた。次なるI・Hへ向け新たな練習が始まるまでの間、ナミたちは県内のボクシングジム見学ツアーに出発する事に……




「さて、と。みんな、準備は出来た?」



 軽めのトレーニングを終え、部室内の清掃後制服に着替えたナミは、他のメンバーに声を掛ける。
柊から内密に頼まれ、今日は神奈川県内でも回れる範囲で各ボクシングジムを巡ろうという話になっていたのだ。
何故柊が突然そのような事を言ってきたのか、ナミは敢えて訊かなかった。単に興味本位なだけと思ったのもある。
どちらにしても、無理に訊こうとすればする程彼女は本心を語らなくなるだろう。ナミとしては、理由はどうあれ本格的に興味を抱いてくれた事にこそ価値を見出せた。

「おう、こっちはOKだぜ」
「「私たちもいいよぉ~」」
「い、いつでもいいわよ!」
「はい、大丈夫です」
「わ、わ、ちょっと待って! 髪が引っかかって……あいたッ」

若干1名制服に金色の髪を引っ掛けつつも、大方準備は整ったらしくそれぞれ返事を返してくる。全員が支度を終えたのを確認後、ナミを先頭にジム見学ツアーへ出発した。



 今回のジム見学ツアーに参加するのは、ナミの他に

桜 順子
高頭 柊
城之内 アンナ
比我 秋奈
葉月 越花、雪菜

の計7名。いずれも基本的には興味が先に立っての参加なのだが、そんな中で本格的にジムへの入会を考えている者たちがいる。

柊と順子の2人であった。

柊は、夏に待つオリンピック強化合宿に先駆けて少しでも万端にしたい為。
一方の順子は、女子ボクシング部に入部しトレーニングを続ける度、ナミの影響を受けてかプロを意識するようになっていった為である。
それを見越して、短い時間ながらアルバイトを入れジムの費用を作っているのだから。



「じゃあまずはココからね」

 ナビ代わりのナミを先頭に一行は歩を進め、最初に立ち止まったのは山之井ボクシングジム。県内でも三指に数えられる有名ジムは、2階立てで広い面積を誇る。
出入口に入り、受付を通り越して2階へと上がり練習場のドアを開ければ、熱気の籠もった空間が瞬く間に広がっていった。
部室で見る光景とやっている事は変わらない。が、部活では伝わって来ない緊張感が一同を突き刺す。

プロとして、またプロを目指して、男たちが己を賭けて必死に鍛錬に励んでいるのだ。

「すご……」

プロの空気を知らない順子が、つい言葉を零してしまう。

「そっちに見学スペースがあるから、練習生の邪魔しないように座ってね」

ドアの前で呆けていた部員たちを、ナミは見学スペースへ誘う。慣れたもので、ナミはこの緊張感をものともせずテキパキと椅子を並べ皆を座らせていく。

「ん? こりゃまた可愛らしい見学者がたくさん……学校の友達か、ナミ坊?」

皆が椅子に座ったのを見計らったかのように……実際見計らっていたのだろう、見学スペースへ関係者と思わしき初老の男が近寄り、気さくな態度でナミに話し掛けてきた。

「うん。ほら、前に話した女子ボクシング部の部員たち。あ、紹介するね。この人がココの会長、山之井 敦史(やまのい あつし)さん」

ナミが、会長と称する初老の男性を皆に紹介する。それに合わせて全員が席を立ち会釈すると、「いいよいいよ、座ってなさい」と好々爺然とした口調で着席させた。。

「そうか、この娘らが例の……お嬢さんたち、もし入会する気があるんならいつでも言ってきなさい。可愛い女の子の練習生ならいつでも大歓迎だよ?」

そう言って快活に笑う山之井会長。豪放なおっさんだな、と柊は僅かに苦笑していた。実は、こんな人物が嫌いではないのだ。

「会長っさん、今度の大会のエントリーの件で協会から電話入ってます」

会長室から、マネージャーと思わしき中年男性の声が響く。

「んあ? ったく、せっかく美少女たちとお近づきになれるチャンスだったってのになぁ……それじゃナミ坊、あとはお前に任すからな」

名残惜しそうに、敦史はブツブツ文句を言いながら会長室へと引っ込んでいった。

「ご…豪快な人ね……」

思わず順子が口を開く。これに対して、「ごめんね、あんな人で……」と何故か謝るナミであった。



 初めてのボクシングジムの内部という事で、興奮を隠し切れない様子の面々。そんな中、大多数の男性練習生に混じってトレーニングに励む、少数の女性練習生の中に見知った顔を見つけたアンナが耳打ちしてきた。

「ねえ、あそこにいるのって、馬剃さん?」

アンナが指差した方向、そこには姿見の前でシャドーボクシングをしている1人の女性練習生の後ろ姿。


馬剃 佐羽(ばそり さわ)


新人戦の決勝戦をアンナと闘い、疲れ切っていたアンナを瞬殺し優勝した、湘南大附属高校・女子ボクシング部の選手である。
ナミが高校に入った頃に入会してきた、ジムメイトでもあった。

「うん。馬剃さんもウチのジムの所属。彼女もわたしと一緒でプロ志望なのよ」

I・H神奈川県予選で白鷺 美智子(しらさぎ みちこ)に敗れはしたものの、惜しい所まで追い詰めていた事で一定の評価を受けているらしい。

「あと、一応鉄平のヤツもウチの所属ね。正直どうでもいいけど」

もののついで、といった口調でナミは心底嫌そうに光陵ボクシング部員、我聞 鉄平(がもん てっぺい)の名前を出す。
夏の交通事故以降、リハビリも順調にこなし今では完全に復活して今年のI・H出場に燃えているようだ。
そんな話をしていると、佐羽がナミたちに気付いたらしく軽く会釈している。ナミも軽く手を挙げると、まだ練習中の佐羽はラウンド開始のブザーと同時に姿見の前でシャドーボクシングに没頭していった。。



 その後黙々と続けられていく練習を見学し、手の空いたコーチの1人に幾つかの質問を交わすと、ある程度でナミたちは次のジムへ向け出発。
道中、他の小さなジムを1件回った後、次に到着したのは沼田ボクシングジム。
山之井ジムと比べても遜色ない規模を誇り、古くから山之井会長と鎬を削ってきた田沼 半次(たぬま はんじ)という人が会長を務めている。
この2つのジム、よく交流もあるのだそうだが女性の練習生が極端に少ないらしく、ナミは1度も呼ばれた事がない。従って、ナミも実は興味があった。

「こんにちはー」

出入口のドアを開け、受付に見学の旨を伝える。了解を得た後、練習場に案内された一行は例の如く見学者用の一角で収まった。
暫く練習場内の様子を見ていたナミたちだったが、そこで柊が見知った人物を見つけたらしく、ナミの脇腹を軽く肘で小突いた。

「おい下司、あれって弥栄(やさか)じゃねーのか?」

「……ホントだ、弥栄さんだわ」

柊が見つけナミが確認したのは、練習場の隅で懸命にパンチングボールを叩いている品森高校・弥栄 千恵子の姿。
ダダム、ダダムと小気味良い音を立て、打っては跳ね返ってくるボールをリズミカルに打つその姿は、去年の新人戦より確実にレベルアップしているのを感じさせた。
やがてブザー音と共に動きを止め、千恵子は近くに掛けてあったタオルを取り汗を拭き始める。そして間髪入れず見学スペースで座っている一行を視認するや、一目散に駆け寄ってきた。

「ハァ、ハァ…あれ? 光陵の皆さん、どうしたんですか、こんな所で」

滴る汗を拭いながら、千恵子は笑顔で話し掛けてくる。上下白のジャージ姿で息を切らせる千恵子は、その美麗な容姿も相まって実に絵になるスポーツ美少女であった。

「こんにちは、弥栄さん。ちょっと見学にね。わたしたちの事は気にしないで、練習に戻って。そろそろ鳴るわよ?」

一同を代表して、ナミが応対する。

「あ、はい。それじゃ皆さん、失礼します。ゆっくりしていって下さいね」

指摘を受け、千恵子は軽く舌を出し見映えの良い笑顔を作りペコリと一礼すると、汗だくのままパンチングボールをリズミカルに叩き始めた。



 沼田ジムもある程度で切り上げ、一行は次なる目的地へと向かう。男性に混じって真面目に練習していた佐羽や千恵子を思い返し、アンナや越花などは終始感心しきりであった。

電車で数駅を越え、次に辿り着いたのは相田(あいだ)ボクシングジム。山之井ジムや沼田ジムに比べると、外観や面積に於いてやや見劣りするのは否めない。
ただ、中から伝わってくる熱気は他に勝りこそすれ、劣るものではなかった。

「こんにちはー」

今日何度目かの挨拶をし、ナミが手際良く見学の旨を伝える。練習場に入ると、ほぼ中央を占める形で設置されたリングの中で女性の練習生同士が向かい合っている。

どうやらスパーリングの最中らしい。

トレーナーの激が絶え間なく飛び、それに応えるようにお互いパンチを繰り出していく。どうやら、まだどちらも打ち合いには慣れていないらしい。

そんな初々しいスパーリングの光景をしばらくの間見やり、改めてジム内を観察。思った以上に女性練習生の姿が目立ったように、ナミは感じた。



 相田ジムを出た時、外は既に黄昏時を過ぎ暗闇に支配されつつあった。時間にして、19:50。
さすがにここから近場のジムに向かったとしても、軽く30分はかかりそうとの事で、今日は一旦打ち切ろうと皆が一致。続きは明日に行く事となった。


今回の企画を裏で持ち出した当の柊だったが、この時点ではまだ腰を下ろすべきジムを選定するには至っていなかった……





to be continued……
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コメント

No title

ナミちゃんツンデレwww
じゃなくて、本当に鉄平クンの事嫌いなのねwww
確かにフラグなんて無さそうだわw

残念ながらナミは遺伝子レベルで鉄平とソリが合わないのですよ。鉄平の方は中学生の頃ナミに想いを寄せてた時期もありましたが、ものの見事にポッキリ折られちゃいました……
今では悪友、といった感じでしょうかw
Secre

プロフィール

チャパロット

Author:チャパロット
基本的に携帯サイトで書かせて頂いているもののリメイク(?)ですが、ちょくちょく文を変更してたりします(あと拙いですが自作絵なども)。
何かある方は、ckcwb305あっとまーくsutv.zaq.ne.jpにご連絡下さい。

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